はじめに
「社内のコミュニケーション、もっと良くできないかな?」
そんな課題感から始まったのが、今回ご紹介する社内SNSの開発プロジェクトです。
外部ツールを導入する選択肢もあった中で、私たちはあえて自社の開発メンバーだけで内製する道を選びました。
この記事では開発の裏側や技術的なチャレンジ、AIをどう活用したか、そして実際に社内のコミュニケーションがどう変わったかをお話しします。
なぜ自社開発を選んだのか
理由は大きく2つあります。
1.自社エンジニアのレベルアップ
これが一番の理由でした。単に「社内SNSというツールが欲しい」だけなら、既製品を導入すれば済む話です。
でも私たちはこの開発を通じて得た知見や情報を社内に展開し、企業として・社員全員のスキルの底上げにつなげたいと考えました。
実際のプロジェクトほど学べる場所はありません。
2.セキュリティ
社内SNSには、自社固有の情報が日々流れることになります。
外部サービスに預けるのではなく、自分たちの手でインフラからアプリケーションまで設計・運用することで、セキュリティを自社の基準でしっかり担保したいと考えました。
金融・公共系等の高品質、高セキュリティ要件に日々対応しているプライドもありましたが。笑
「学びの場」と「安心して使える場」この2つを両立できるのは内製がベストでした。
技術スタック
今回の開発で採用した主な技術はこちらです。
(もともとスマホのアプリとしてリリースしていたものをPWA化しました)
| レイヤー | 技術 |
|---|---|
| フロントエンド | React / TypeScript |
| バックエンド | Java / Spring Boot |
| データベース | Amazon RDS(PostgreSQL) |
| インフラ | AWS(ECR / ECS によるコンテナ運用 ほか) |
| リアルタイム通信 | Firebase |
バックエンドのJava + Spring Bootは私たちの主戦場であり、目を瞑っていても書けます。笑
またRDS(PostgreSQL)やECR/ECSでのコンテナ運用も、普段のAWS活用の延長線上で構成しました。
※AWS、Azure、GoogleCloudは比較的対応しているエンジニアが多く、これまでの経験から利用するサービスの選択や構築は問題ありませんでした。
今回プロジェクトの一番の懸念はフロントエンドでした。
最大の懸念:フロントエンドちょっと弱いです・・・
包み隠さず言うと、弊社はフロントエンドが弱点でした。
金融・公共系のシステム開発が中心ということもあり、メンバーの多くはJavaエンジニア。
フロントエンドといえばバニラJSやjQuery、ThymeleafやJSPといったサーバーサイドレンダリングの世界が主戦場で、モダンフロントエンドの経験者はほぼいない状態からのスタートです。
それでもあえてReact + TypeScriptによるSPA構成を選びました。
理由はシンプルで、この開発をエンジニアのレベルアップの機会にしたかったからです。
とはいえ大変でした。(想像通りですが笑)
- そもそも「SPA」という概念への頭の切り替え(画面遷移=サーバーへのリクエスト、という長年の常識からの脱却)
- Reactのstate管理(この状態はどこで持つべきかで設計を悩む)
- jQueryの「DOMを直接いじる」発想が抜けず、Reactの宣言的UIに馴染むまでの苦労
サーバーサイドで鍛えてきたエンジニアほど、最初は戸惑いが大きかったように思います。
AIを使い倒して壁を越えた
この弱点をカバーしてくれたのがAIツールの徹底活用でした。
具体的には Claude、Claude Code、Cursor を使い倒しました。
- 既存知識からの橋渡し役(jQueryならこう書くコード、Reactではどう書くの?等)
- state管理の設計相談(この要件ならstateをどこに持つべきかを壁打ち)
- コンポーネント設計やTypeScriptの型定義など、経験不足を補うレビュアー
- エラーにハマったときの調査活用
特に効果的だったのはAIが単なる「コード生成マシン」ではなく、モダンフロントエンドのメンターのような役割を果たしてくれたことです。
アーキテクチャやコードレビューの際に、疑問に思ったことや分からないことをAIに問い詰めました。笑
そうすることでチーム全体で理由を理解しながら進められ、メンバースキルとして定着したのではと考えています。
AI活用方法もチームで共有できていいこと尽くしでした。
それと同時に完全に知識ゼロは難しかっただろうなという感触を得ました。
Javaで培った設計力・実装力という土台があったからこそ、AIとの協働でフロントエンドのキャッチアップを一気に加速できたというのが正直な所です。
社内コミュニケーションはどう変わったか
リリースから数年が経った今、この社内SNSはある程度根付いてくれたかと感じています。
休日の過ごし方や趣味の話題が投稿されるので、「あの人こんな一面があったのか」という発見が生まれています。


そこから起きた変化はこんな感じです。
- 趣味のつながりが生まれた
- 投稿が話題の提供になり、実際の会話ネタになる
- 社内のコミュニケーションが増えた
仕事の接点がない社員同士でも、投稿をきっかけに会話が生まれる。
当初狙っていた「コミュニケーションのハブ」として少し役に立ってくれているのかなと感じます。
またユニークな取り組みとして、投稿した内容が懇親会などで表彰されギフトがもらえることもあります。

誰でも・どんな内容でも良い、文化が少し浸透したことで投稿のハードルが下がり、利用が広まってくれたのかなと思います。
とは言えまだまだ一部の人の利用に偏っている所はあるので、引き続きエンジニアのレベルアップ&コミュニケーションのハブをメインとして機能追加やイベントを考えていきたいと思っています。
開発を通して得られたもの
プロダクトの価値はもちろんですが、このプロジェクトの一番の成果は技術の幅が広がったことかもしれません。
- 「Javaは得意だけどモダンフロントは…」だったメンバーが、React + TypeScript実装のスタートを切れた
- AIを開発にどう組み込むか、チームとしての知見・型ができた
- 自分たちがユーザーでもあるので、PDCAのトレーニングにもなる
エンジニアとしてこういったレベルアップを感じられ、更にすぐ横でサービス使ってもらい生のフィードバックを得られる。
こんな幸せな環境は他に無いかもしれません。笑
おわりに
「フロントエンドが弱い」という現実から逃げずに敢えて挑戦してみる。
今回の社内SNS開発は、私たちの文化をよく表しているプロジェクトだったと思います。
この記事でもありましたが、取り合えずやってみればいいんじゃない?文化はしっかり根付いていると感じます。笑
こんな環境で開発してみたい!
と思った方は是非採用募集にご応募頂ければと思います。














